社会と個人 どう向きあうの

林住期 どのように暮らすのか。日々、自問自答する。

(210) 「高倉健、その愛。」(小田貴月著)を読んだ。 激せず、躁がず、競わず、随わず、そして、驕らず……

 

 

 

 

 

                                                       


 1879年

 横浜の商人は、この日、貿易促進のために横浜正銀(しょうぎん)銀行を設立したいと大蔵省に願い出た。
 当時、居留地貿易だったため、貿易の主導権は完全に外国人が握っており、日本人の商人は外国商社の横浜支店を通じてしか輸出することができなかった。日本人商人は足元を見られて、しばしば生糸を買いたたかれたり、目方をごまかされたりしていた。こうした中で、大銀行をつくって、直接に外国と貿易しようと考えた。


旧:横浜正金銀行本店(現:神奈川県立歴史博物館)

1887年には外国貿易関係を専門とする特殊銀行となった。日露戦争では戦費調達のために外債の発行に尽力した。

1907年、国内に5店舗、五大陸に20の店舗を有した。

1920年には世界三大為替銀行の一つとなった(あと二つは、香港上海銀行、チャータード・マーカンタイル銀行)。太平洋戦争中は、国家的金融機関として日本の勢力圏内での金融の中心となった。

第二次世界大戦においては日本の軍需に必要な外国通貨収集の為の機関とみなされたために、敗戦後の1946年(昭和21年)にGHQの指令によって解体・清算され、外国為替銀行としての役割は新たに設立された東京銀行に引き継がれる事になった。
                                       

                                               岩波ジュニア新書「カレンダー日本史」(永原慶二編著)から        

 

 

 

 

今日は、健さんの命日。

 

2014年11月10日、高倉健は83才でこの世を去った。もう9年も前のことだ。
この作品は4年前の10月に刊行された。

小田貴月さんは、10数年、健さんの伴走者として寄り添った方。伴走する際に、健さんからのリクエストは「化粧をしないでください」だっとのこと。
 序章 僕のこと、書き残してね  高倉健からの宿題
 第1章 高倉健への旅のはじまり

最初のところで、どういうわけか涙が止まらない。
健さんを失い、寂しさに虚を衝かれる日常で、宿題を必死に果たされる貴月さんの必死さが伝わるからだろうか。

< とめてくれるな おっかさん 背中のいちょうが泣いている > この切迫感、焦燥感、英雄主義的なところ、確かに 当時の時代の空気・雰囲気を伝えている。




映画好きでなくとも、健さんの存在感に圧倒される。
プライベートの部分をこの作品から知るのだが、「ああ そうなんだろうなぁ」と変に納得してしまう。

第4章で高倉健のお気に入りの映画一覧が感想とともに記載されている。私も是非参考にしたい。

 

「樹影澹 あとがきにかえて」で二つ、教えてもらった。

テクムセ(ティカムサ)の詩をタイプアップ (清書) して飾っていたとのこと。


死の恐怖に犯されない人生を送れ
人の信仰を貶めるな
人の考えを尊重し自分の考えも尊重してもらうよう求めよ
人生を愛し全うしろ
あらゆるものを美しく彩れ
長く生きるよう努め大切な人に尽くせ
そしてその時が来たら
死の恐怖に囚われる者になるな
もっと時間が欲しい
違う人生をやり直したいと嘆く者になるな
賛歌を口ずさみ
英雄の帰還すが如く逝け

テクムセ(ティカムサ)(Tecumseh / Tecumtha / Tekamthi, 1768年? - 1813年10月5日)は、アメリカインディアンのショーニー族の戦士、または酋長で、白人への植民地抵抗運動のシンボル的人物。
映画「ネイビーシールズ」の終盤に、父親から息子に贈る言葉ティカムサの詩が使われていた。

 

二つ目。
心の灯明にしたという。「四耐四不」(王陽明) 。
この言葉を刻んだペンダントヘッドを首にかけていたとのこと。
どのような意味なのであろう。

 

耐冷 耐苦 耐煩 耐閑
不激 不躁 不競 不随
以成事

冷に耐え、苦に耐え煩に耐え、
閑(かん/ひま)に耐え
激せず、躁(さわ)がず
競わず、随(したが)わず
以て事を成すべし。
                             

冷(れい)に耐え:人間は世間の冷たいことに耐える
苦(く)に耐え:苦しみに耐える
煩(はん)に耐え:わずらわしいことにも耐える
閑(かん)に耐え:ひまに耐える

激せず:大事をなさんとする者は興奮してはいけない
躁(さわ)がず:ばたばたしない
競わず:つまらぬ人間と競争をしてはいけない
随(したが)わず:人の言いなりになってはいけない
 

高倉健は、< 驕らず > をもう一つ付け加えて生活を律していたという。

 

 

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