社会と個人 どう向きあうの

林住期 どのように暮らすのか。日々、自問自答する。

(259) 「私の殺した男」(1932年 エルンスト・ルビッチ監督) 鑑賞

 

 

 

 

 

 

 

アマゾンプライムビデオで鑑賞。

 

映画.COMから

解説
「陽気な中尉さん」「モンテカルロ」のエルンスト・ルビッチがトーキーになってから始めて手がけたシリアス・ドラマで原作は「シラノ・ド・ベルジュラック」で有名なエドモン・ロスタンの息モウリス・ロスタンの筆になる舞台劇。
それをレジナルト・バークレイが手を加えて改作し更に「陽気な中尉さん」と同様サムソン・ラファエルソンとエルネスト・ヴァイダが協力してシナリオにまとめ上げたもので撮影は「龍の娘」「失われた抱擁」のヴィクター・ミルナーが担任。
主なる出演者を挙げれば「侠盗ヴァレンタイン」のライオネル・バリモア、「盗まれた天国」「夜の天使」のナンシー・キャロル、「アメリカの悲劇」「光に叛く者」のフィリップス・ホームズ、「モンテカルロ」のザス・ピッツ、ルイス・カーター、ルシアン・リトルフィールド等である。

1932年製作/アメリ
原題:The Man I Killed

ストーリー
西部戦線。ポールは若いドイツの兵士を銃剣で刺殺した。
同時に彼は己のした事に激しい恐怖を感じた。その死体から彼はその兵士の名と村を書いた手紙を見いだしてその兵士が愛人に宛てて書いた手紙の最後のページを読んだ。非常にセンシティヴな若者であったポールは恰も己が普通の場合に人を殺したように懊惱した。それは常に彼の心を苦しめ、ついに戦いが終わった後ポールは彼が殺した男の故郷をドイツに訪れそしてその家族の許しを乞うこととした。
彼に殺された若者の父はホルダアリンという医学博士だった。妻と亡き息子の許嫁エルザと共に住んでいた。この人は激しくフランス人を憎んでいた。彼にとってすべてのフランス人は息子の殺害者であり、村全体もまたフランス人を憎むこと甚だしかった。ポールはその村に着くとすぐ己の殺した男の墓に詣で、花を捧げた。エルザは亡き愛人の墓前にひざまづいて泣いている旅人をいぶかしげに見ていた。墓守りはその旅人がフランス人であることを村中にふれ歩いた。やがてポールは博士の家を訪れた。ホルダアリンは旅人の名を聞いた時それがフランス人であることを知り、険しい眼で彼を見、やがて出て行ってくれといった。ポールは一言でいいから聞いてくれと乞うた。そして絶望のうちに恐ろしい告白をしようとしたが、不幸にもその父親は彼が死んだ息子の友人であったというように信じただけで終わった。
それはエルザが戻ってきて一人のフランス人が彼女の愛人の墓に花を捧げていたことを告げたのでホルダアリンはこのたび人が息子と親しかったのだと信じたのであった。憎しみは愛情に変わった。ポールは老夫婦のパセティック喜びを見てついに告白の機を逸してしまった。それからポールはたびたびこの家を訪れ家族は彼を快くもてなした。
村はこのフランス嫌いの老人が一人のフランス人を迎えている姿を見ていろいろと噂した。そして彼の友人達は極めて冷ややかになりことにエルザを貰おうと思っていたシュルツという男はホルダアリンを非難さえした。けれどその頃ホルダアリンは敵だった国民を憎むことの愚かしさをしり、村人の狭い心を斥けた。そして息子を殺されたことに対してフランス人を責めていた彼は戦争とその飽くなき残虐を呪うようになった。またポールは彼に新しいフランス人への理解を与え、これがためホルダアリンは己と同じように息子を失ったフランス人の父親のことを考えはじめた。更に彼の熱心はこれをそのまま村の同じような父親にひろげた。
けれどポールは己の恐ろしい心の要求に更に怖え、エルザに国へ帰ることを告げた。エルザは彼が己を愛していることを知っていた。そして彼がいま国へ帰るというのは自分が死んだ男と婚約していたからだと思った。そこで彼女は亡き許嫁から来た最後の手紙を持って来た。それには彼が例え死んでもそれによって彼女の幸福を妨げることを欲しない旨がが書かれてあった。そして彼女は最後のページをめくった。ポールはついに耐えきれず一切を彼女に告白した。そして今己が自殺しようとしていることを告げた。ポールはすぐにホルダアリンの許に走って同じ告白を始めるがエルザはそれをさえぎってポールはこの村に永住することを告げに来たのだと言った。老夫婦は非常に喜んだ。
やがて二人切りになった時エルザは今になって真を語って逃げ出すのは卑法だと言った。ポールのついに思い直して己が殺した男の両親と愛人の幸福へ己の一身を捧げる決心をしたのであった。

                                      

エルンスト・ルビッチ(1892年1月28日 - 1947年11月30日)は、ドイツ出身の映画監督、映画プロデューサー。1922年には、アメリカのスター俳優に呼ばれ、渡米した。
従って、この作品は1932年にアメリカの資本と俳優によって作られた。
故国ドイツではヒトラーが政権に就いたのが その翌年。そして、1935年、ナチス・ドイツは、ルビッチのドイツ市民権を剥奪した。

私の殺した男」は、シリアスでしかもコミカルな場面も織りまぜて面白い。全然古くない。心にしみる反戦映画だ。
舞台は、第1次世界大戦。





片足のない兵士の股からのショットが強烈。

 

フランス人・ポールは塹壕でドイツ兵を殺した。

そのことに悩み、懺悔し、そして、殺した男の故郷を訪れ、彼の家族の許しを乞おうとドイツに。ドイツは、戦争の影響でフランスに対する憎しみや敵対心で一杯。フランス人への憎悪がうずまいていた。




ポールは、初めて面会した際に家族に謝罪するタイミングを逸して、一方で、家族との意思疎通が進んでいくに従い、さらに悩みを深める。

  


結末がどうなるのだろうか、ドキドキ感が増す。
殺した男のフィアンセ・エルザとも仲良くなって、街中から噂され、後ろ指をさされる。

 

  

 

父・ホルダアリンも老人たちから村八分にされる。

酒場で、老人たちを前に反駁する。そして、それは、自分自身についての反省の弁でもある。

 「フランスの息子たちが死んだ時、ドイツの父親たちはビールで祝杯をあげた。
  ドイツの息子たちが死んだ時、フランスの父親たちはワインで祝杯をあげた。
  あの時、父親たちは息子たちの死を祝っていたのだ!」

 「私は、憎しみも悲しみも両方経験した」

 「私は死に行く息子を励ましていたんだ……」


さて、最後の顛末はいかに。
エルザがすごい。賢くて、強くて、思慮深いし優しい。
ポールにとっては、残酷な人生に違いない。

ポールがバイオリンを奏で、エルザがピアノで伴奏する。父も母も幸せを感じて寄り添う。感動的なフィナーレ。曲は、「トロイメライ」。トロイメライの意味は、夢、夢想とのことだ。

 

 

トロイメライ」聴くと落ち着く。ゆったりと美しい。

www.youtube.com

 

 

 

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