社会と個人 どう向きあうの

林住期 どのように暮らすのか。日々、自問自答する。

(287) 「オッペンハイマー」鑑賞

 

 

 

 

 

 

 

半ドンの仕事を終わって、大阪ステーションシネマで13時からの部を鑑賞。8割ぐらいの観客、若い人から年配の方まで多彩であった。

 

  

 

映画.COMから

ダークナイト」「TENET テネット」などの大作を送り出してきたクリストファー・ノーラン監督が、原子爆弾の開発に成功したことで「原爆の父」と呼ばれたアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた歴史映画。2006年ピュリッツァー賞を受賞した、カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによるノンフィクション「『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」を下敷きに、オッペンハイマーの栄光と挫折、苦悩と葛藤を描く。

第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。

オッペンハイマー役はノーラン作品常連の俳優キリアン・マーフィ。妻キティをエミリー・ブラント原子力委員会議長のルイス・ストロースをロバート・ダウニー・Jr.が演じたほか、マット・デイモンラミ・マレック、フローレンス・ピュー、ケネス・ブラナーら豪華キャストが共演。撮影は「インターステラー」以降のノーラン作品を手がけているホイテ・バン・ホイテマ、音楽は「TENET テネット」のルドウィグ・ゴランソン。

第96回アカデミー賞では同年度最多となる13部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門で受賞を果たした。

2023年製作/180分/R15+/アメリ
原題:Oppenheimer
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2024年3月29日

 

www.youtube.com

 

アカデミー賞で最多の7部門を受賞という評判の高い映画、でも原爆の悲惨さを十分に表現していないなどの批判があり、鑑賞するか迷ったが、でも観て正解、大正解だ。
映像、音楽、など緊迫感は最後まで続いた。スクリーンに3時間引き込まれた。
原爆について、核について、改めて考えるきっかけとなった。
作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門で受賞、納得だ。

原爆の開発、冷戦下の赤狩りという重いテーマ。真正面から丁寧に、すごいと思う。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

  

 

  

 

「私は死神、世界の破壊者となった」、オッペンハイマーはトリニティ実験 (マンハッタン計画) 成功の後にこう述べた。

ギリシャ神話に登場するプロメテウスは、人類に火を与え、文明の発展に貢献した。でも、しかし、その行為は神々の怒りを招き、彼は永遠の苦難を受けることになった。


栄光から挫折。

 

 

 

  

 

妻が苦しい中を支える。

  


かつての恋人役を演じたフローレンス・ピューが魅力いっぱいだ。

 

アインシュタインオッペンハイマーの師弟関係が映画に深みを持たせている。どんな会話を交わしたのか気になるところだ。



 

映画『オッペンハイマー』公式|3月29日(金)公開

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 


核の脅威を身近に感じる時代状況。ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのジェノサイド攻撃など。ロシアもイスラエルも核攻撃の脅しを平然と公言している。
核兵器をめぐる状況は明るさが見えない。
この映画は、こうした現実をどう見つめるのかを考えるきっかけとなるに違いない。

「私は死神、世界の破壊者となった」というオッペンハイマーの苦悩を希望へと変える道はあるのであろうか。


 

3時間はあっという間だ。
クリストファー・ノーラン監督、凄い。スタッフ、俳優など総合力に感服してしまう。
カラー表現、白黒表現というのも面白い。新鮮だ。
映画でないと表現できないものを見ることができた。
評価 95点。

 

 

 

備忘録

オッペンハイマーの経歴

1904年
 4月22日、ニューヨーク市で裕福なドイツ系ユダヤ人の家庭に生まれる。

1922年
  ハーバード大学に入学。

1925年
  ハーバード大学を首席で卒業。

1925-1927年
  イギリスのケンブリッジ大学に留学。

1927-1928年
  ドイツのゲッティンゲン大学で研究。

1928-1942年
  カリフォルニア大学バークレー校で教授として量子力学などを研究。

1942年
  マンハッタン計画に参加。

1943年
  ニューメキシコ州ロスアラモス研究所の初代所長に就任。

1945年
  7月16日、トリニティ実験で世界初の原子爆弾実験に成功。
  8月6日と9日、広島と長崎に原子爆弾が投下される。

1946年
  原子爆弾開発への責任感から、国際的な原子力管理を訴える。
  アメリ物理学会から、ドゥーデ賞を受賞。
  アメリカ政府から、功労勲章を受章。

1947年
  イギリス王立協会から、ロイヤル・メダルを受章。

1947年
  プリンストン高等学術研究所の所長に就任。

1954年
 原子力委員会の委員長に任命される。

オッペンハイマーは、過去の共産党活動などから、共産主義者と疑われ、赤狩りの標的となりました。

1954年
 原子力委員会オッペンハイマーの安全保障上の適格性を審査する公聴会を開催
 原子力委員会の委員長を解任される

1957年
  ソ連水素爆弾実験成功を受け、核軍拡競争に警鐘を鳴らす。

1962年
  アメリカ大統領ジョン・F・ケネディから、エンリコ・フェルミ賞を授与される。


1967年
  喉頭癌により62歳で死去。

 

トリニティ実験

トリニティ実験とは、1945年7月16日にアメリカ合衆国で行なわれた人類最初の核実験。実験はニューメキシコ州ソコロの南東48kmの地点で爆縮型プルトニウム原子爆弾を用いて行われ、同型の爆弾「ファットマン」が、後に長崎市へ投下された。この実験による核爆発は、約25キロトンのTNTの爆発と同規模のもの。

実験名は、実験場所の近くにトリニティ教会があったことに由来している。

トリニティ実験は、マンハッタン計画と呼ばれる、第二次世界大戦中にアメリカ合衆国が推進した原子爆弾開発計画の成功を決定づける重要な実験だった。

実験は、科学者や軍関係者など約200人の観測者が見守る中、午前5時29分45秒に実施された。爆弾は高さ約30メートルの鉄塔に設置され、遠隔操作で起爆された。

爆発は、太陽の10倍の明るさで周囲を照らし、爆心地から19km離れた地点でも3度火傷を負うほどの熱線を放った。また、爆発によって発生したきのこ雲は、高さ約13kmに達した。

トリニティ実験は、人類史上初の核爆発であり、その後の核兵器開発競争の引き金となった歴史的な出来事であると同時に、広島・長崎への原爆投下という悲劇を生み出すきっかけにもなった。

実験成功後、オッペンハイマーは「私は死神、世界の破壊者となった」と述べたと言われている。

トリニティ実験は、核兵器の恐ろしさを改めて認識させてくれるとともに、科学技術の倫理的な問題についても考えさせられる重要な出来事だ。

 

原爆と水爆の違い

どちらも核兵器ですが、利用するエネルギー源と爆発威力に大きな違いがある。

1. エネルギー源

 原爆:原子核核分裂を利用
     ウラン235プルトニウム239などの重元素の原子核が分裂し、エネルギーを放出
 水爆:原子核核融合を利用
     重水素三重水素などの軽元素の原子核が融合し、より大きなエネルギーを放出

2. 爆発威力

 原爆:キロトン級
     広島に投下された原子爆弾は約15キロトン
     長崎に投下された原子爆弾は約21キロトン
 水爆:メガトン級
     最大規模の水素爆弾は約50メガトン(広島型原爆の3800倍)

3. その他の違い

 開発時期
     原爆:1945年
     水爆:1952年
 開発者
     原爆:マンハッタン計画
     水爆:エドワード・テラー
 製造コスト
     原爆:比較的安価
     水爆:高価
 放射性降下物
     原爆:大量の放射性降下物
     水爆:さらに大量の放射性降下物

 

 

水爆は原爆よりも爆発威力は格段に大きいが、放射性降下物もより多く発生するため、より環境破壊が深刻だ。

 

原爆と水爆の保有国と保有

原爆と水爆の保有

  アメリカ:約5428発 (核弾頭数)
  ロシア:約5977発 (核弾頭数)
  中国:約350発 (核弾頭数)
  フランス:約290発 (核弾頭数)
  イギリス:約225発 (核弾頭数)
  パキスタン:約165発 (核弾頭数)
  インド:約160発 (核弾頭数)
  イスラエル:約90発 (核弾頭数)
  北朝鮮:約20発 (核弾頭数)

 

 

 

2015年のアメリカでの意識調査 日本への原爆投下について

 ※ 上記2つの図は、朝日新聞デジタルから拝借
        DO YOU KNOW NAGASAKI? アメリカで聞くナガサキと原爆 - プレミアムA:朝日新聞デジタル

 

 

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