社会と個人 どう向きあうの

林住期 どのように暮らすのか。日々、自問自答する。

(208) ガザ・イスラエル戦闘 即時停戦! 大国が民族自決権を蹂躙する歴史を繰り返してはならない

 

 

 

 

 

10月7日、イスラム組織ハマスイスラエルへの大規模な攻撃から1か月余が経つ。イスラエルによるジェノサイド攻撃が激しくなっている。

何ができるのか、自問・自答する。

10月17日に、「ガザの事態を憂慮し、即時停戦と人道支援を訴える中東研究者のアピール 」が出された。一市民として賛同した。


中東研究者有志

ガザの事態を憂慮し、即時停戦と人道支援を訴える中東研究者のアピール 

中東のパレスチナガザ地区をめぐる情勢が緊迫、深刻化しています。私たちは、中東の政治や社会、歴史、中東をめぐる国際関係等の理解、解明に携わってきた研究者として、また中東の人々やその文化に関心を持ち、中東の平和を願ってさまざまな交流を続けてきた市民の立場から、暴力の激化と人道的危機の深刻化を深く憂慮し、以下のように訴えます。

 

1. 即時停戦、および人質の解放。

2. 深刻な人道上の危機に瀕しているガザを一刻も早く救済すること。ガザに対する攻撃を停止し、封鎖を解除して、電気・水の供給、食糧・医薬品等の搬入を保証すること。軍事作戦を前提とした市民への移動強制の撤回。

3. 国際法、国際人道法の遵守。現在進行中の事態の全局面において人道・人権に関わる国際的規範が遵守されることが重要であると共に、占領地の住民の保護、占領地への入植の禁止等を定めた国際法の、中東・パレスチナにおける遵守状況に関する客観的・歴史的検証。

4.  日本政府をはじめとする国際社会は、対話と交渉を通じて諸問題を平和的・政治的に解決することを可能とする環境を整えるため、全力を尽くすこと。

 ガザをめぐる深刻な事態は、戦闘・包囲下に置かれた無数の市民の命を奪い、多大な犠牲を強いているだけでなく、もしこれを放置すれば中東の抱える諸課題の平和的解決が半永久的に不可能になり、中東、さらには世界全体を、長期にわたる緊張と対立、破局に引きずりこみかねない危険なものです。日本は戦後、パレスチナ問題に関しては中東の人々の声に耳を傾けて欧米とは一線を画した独自外交を展開してきた実績があり、中東との相互理解・友好を深める交流は、市民レベルでも豊かに展開されてきました。このような蓄積・経験を今こそ生かし、人道的悲劇の回避と平和の実現のために力を尽くすことを呼びかけます。

                                                                                     2023年10月17日

呼びかけ人

飯塚正人、鵜飼哲臼杵陽*、大稔哲也*、岡真理*、岡野内正、栗田禎子*、黒木英充*、後藤絵美*、酒井啓子、長沢栄治*、長沢美抄子、奈良本英佑、保坂修司、三浦徹、山岸智子、山本薫 (*呼びかけ人代表) 

 



東京新聞から

ガザ危機 ハマス、イスラエルの即時停戦と人道支援を 中東研究者らが声明:東京新聞 TOKYO Web

ガザ危機 ハマスイスラエルの即時停戦と人道支援を 中東研究者らが声明

2023年11月2日 17時00分

パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスイスラエルの衝突が続き、ガザの人道状況が悪化しています。
事態を憂慮した日本の中東研究者有志が即時停戦と人道支援を訴えるアピールを発表し、他分野の研究者や市民にも呼びかけたところ、賛同者は10月末時点で4300人を超え、海外でも反響を呼んでいます。
呼びかけ人の共同代表で千葉大文学部の栗田禎子教授(中東現代史)に今回の危機の構図やアピールの狙いを聞きました。
                    (聞き手・岩田仲弘)


オスロ合意が反故にされた…

Q ハマスが10月7日に大規模攻撃に出た意図についてどう分析しますか。

A 直接の背景はまだ不明ですが、まず前提としてパレスチナの人々はちょうど30年前にイスラエルパレスチナ解放機構PLO)が合意したはずの「オスロ合意」が反故(ほご)にされてきた、と感じていることに注意する必要があります。


ガザ郊外の難民キャンプに対するイスラエル空爆後、
破壊された建物のがれきの中から生存者を探す人たち=AP

合意では、イスラエルが1967年以来占領下に置いてきたヨルダン川西岸やガザ地区に対し、「暫定自治」から出発し、将来的にはパレスチナ民族自決権実現、独立国家建設もあり得るという展望が示されたのですが、実際はその後イスラエルは入植地をどんどん拡大し、ヨルダン川西岸には分離壁ができ、ガザは封鎖され「兵糧攻め」に遭いました。
いつのまにかパレスチナ人の民族自決権実現という課題は国際社会でまったく忘れられ、住民は怒りと絶望感を感じていたと思います。
さらに近年、アメリカのトランプ前政権が露骨な親イスラエル政策を取り始めると、アラブ諸国でもパレスチナの頭越しにイスラエルとの関係改善の動きが相次ぎました。2020年以来、アラブ首長国連邦UAE)、スーダン、モロッコ等が次々とイスラエルとの関係「正常化」で合意し、サウジアラビアとも交渉が進んでいると伝えられていました。パレスチナは「世界から見捨てられつつある」と感じていたと思います。

Q ハマスだけを非難しても問題は解決しないということですか。

A 10月7日のハマスの攻撃では子どもを含む民間人に対する度を越えた暴力行使があり、これは許しがたい行為です。
一方で、パレスチナ人の独立国家樹立の願いを実現してこなかったイスラエル、さらには国際社会の責任もあります。ちなみにイスラム組織ハマスは、かつてアラファト議長率いるPLOの世俗的・民主的な勢力と対抗させるため、湾岸産油諸国など域内の保守勢力が資金援助して育成したという経緯があり、イスラエルパレスチナ人を内部分裂・対立させておくためにハマスを便利な存在として利用してきた側面があります。
そうした政策のつけが今回このような形で回ってきたのは皮肉だ、という指摘は、イスラエル国内からも出ています。
要は10月7日以降だけを見るのではなく、1967年の第三次中東戦争以来、イスラエルヨルダン川西岸とガザを占領し続けてきたこと、「オスロ合意」の後もパレスチナ人に独立国家建設を許さず、特にガザ地区に対しては2007年以来、人々の暮らしを困窮させる封鎖政策を16年間にわたってとってきたことを想起すべきでしょう。


Q それでもハマスの急襲作戦は無謀に見えます。

A その通りで、何が目的だったかについては見方が分かれます。あのような行動に出ればイスラエルがガザ完全封鎖、空爆、さらには地上侵攻に踏み切るだろうということは当然織り込み済みだったはずなので、もしかすると、むしろそのような反応を引き出すことでイスラエルという国家の性格を世界に示し、それに国際社会がどう反応するかを問う、という狙いがあったのかもしれません。


国際法・国際人道法の遵守を

Q 国際社会の反応をどう見ていますか。

A たとえば最近、経済的・政治的にその存在感が注目される「グローバルサウス」といわれる国々は、欧米の植民地支配に長年苦しんできた地域です。

1日、ヨルダン川西岸でのイスラエル軍の襲撃で死亡した武装勢力の遺体を運ぶパレスチナの人たち=AP


このため、アパルトヘイト体制と闘った経験を持つ南アフリカは、いち早く暴力の即時停止を求める声明を出し、今回の危機は「パレスチナの土地を不法に占拠し続け、パレスチナ人を抑圧し続けてきたことから生じたものだ」として、国連決議と国際法を遵守(じゅんしゅ)する重要性を指摘しています。

Q 中東研究者アピールでも即時停戦と人質の解放を真っ先に上げています。

A  EU欧州連合)も人道のための停戦を訴えているし、当初はイスラエルの「自衛権」の名のもと、ガザへの攻撃を全面支持する姿勢を示していたアメリカのバイデン政権も、自分たちの路線が国際的には孤立していることに気づき始めているのではないでしょうか。国連総会でも人道的「休戦」を求める決議が採択されました。


1日、イスラエル南部で、10月7日のハマスによる攻撃で
燃やされた車両を検査するイスラエル治安部隊=AP


Q  アピールでは、国際法、国際人道法の遵守を求めるとともに「現在進行中の事態の全局面において人道・人権に関わる国際的規範が遵守されることが重要であると共に、占領地の住民の保護、占領地への入植の禁止等を定めた国際法の遵守状況に関する客観的・歴史的検証」も求めています。

A 今回の一連の軍事行動の中で国際法、国際人道法が遵守されているかどうかは、ハマスイスラエル双方について厳しく見て行く必要があります。ハマスはガザ近辺に作られたイスラエルキブツ(農場)の住民については純粋な民間人ではなく、現地の人から土地を奪った入植者、一種軍事的な存在とみなしているようですが、野外音楽祭に来ている人たちを無差別に殺害・暴行し、拉致することは明らかに国際常識に反します。
ハマスの軍事行動の中にも占領下の住民によるレジスタンスとして国際法上許されている部分と、明らかに国際法・国際人道法違反の部分があり、厳密に見て行くべきだという指摘があります。
他方、イスラエルについても、ガザへの攻撃は自衛権行使だと言っていますが、対等な国家同士の戦争でなく、自らが占領下に置いている住民に対して「自衛権」を行使するのはおかしいのでないか、自衛権概念の乱用だという見方もあります。
今回の危機が直接にはハマスの10月7日の奇襲攻撃で始まったことは事実ですが、その後イスラエルがガザに対して行なっていることは市民全体への無差別殺りくで、明らかな国際法違反、戦争犯罪が毎日起きています。
さらにさかのぼれば、今回の危機の背景にはイスラエルが1967年以来ヨルダン川西岸とガザを占領下に置いてきたという事実が存在するので、国際法を問題にするならば、占領下の人々を保護する義務を定め占領地への入植を禁じたジュネーヴ条約がイスラエルによって遵守されてきたのかも検証する必要があります。


◆日本政府は即時停戦実現に尽力を

Q 日本政府の対応については。

A  2001年のいわゆる「9・11」事件の際、当時の小泉政権アメリカの「対テロ戦争」を支持すると早々と宣言してアフガン戦争を容認してしまいましたが、当時よりは少し慎重な動きがみられると思います。
これは戦後の日本外交がパレスチナ問題に関しては見識ある政策をとってきた蓄積の反映かもしれません。今回もイスラエルアメリカのように安易に「テロ」という表現を用いることは控えるなど、問題の歴史的背景を見定め、国際法に基づく平和的・公正な解決を求める世界の世論に応える姿勢を示すべきと思います。ガザの人々を現在進行中の戦争、人道上の悲劇から一刻も早く救うため、まずは即時停戦を実現するため力を尽くしてほしいと思います。

栗田禎子(くりた・よしこ)
1960年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は中東現代史。元日本中東学会会長。著書に『中東革命のゆくえ 現代史のなかの中東・世界・日本』『近代スーダンにおける体制変動と民族形成』など。

 

 

長周新聞の2つの記事を紹介する。




ガザ侵攻、中東アラブ全土で怒りの抗議 イスラエル・米国は分断と戦争をやめろ 宗教、国籍の違いを越えて連帯 | 長周新聞

「大量殺戮と武力占領をやめろ!」 ガザ侵攻に世界中で非難の声高まる 各地で数万人規模のデモや集会 孤立する米国とイスラエル | 長周新聞

 

 この記事から写真を拝借する。

 

 

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