社会と個人 どう向きあうの

林住期 どのように暮らすのか。日々、自問自答する。

(228) 「PERFECT DAYS」鑑賞 清掃員、修行僧のようだ

 

 

 

 

今日は、3か月に1回の血糖値のチェックのための診察日。朝食を抜いて血液検査、そして、診察。ヘモグロビンA1cが8を超えた。最近は、6.5前後で、ギリギリの数字を維持してきたが、ショックな数字。薬が追加となった。薬はこれ以上 飲みたくはないのだが……
原因は、鵞足炎が完全には治癒していない影響が大ではないかと思う。急性の炎症のマーカーであるCRPの数値も高かった。それに関連して、足が痛いので運動不足だ。
体と心に、再々度 気を引き締めて 向き合っていかないといけない。まずは、鵞足炎の完治から。

ショックは引きずりつつ、予定通り、映画館へ。
大阪ステーションシネマで13時15分からの部を鑑賞。小さめの会場、ほぼ満席。観客はほぼ大人(おとな)ばかりであったが、若い人も見受けられた。

 

 

映画.COM

パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」などで知られるドイツの名匠ビム・ベンダースが、役所広司を主演に迎え、東京・渋谷を舞台にトイレの清掃員の男が送る日々の小さな揺らぎを描いたドラマ。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所が日本人俳優としては「誰も知らない」柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞した。

東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読むことが楽しみであり、人生は風に揺れる木のようでもあった。そして木が好きな平山は、いつも小さなフィルムカメラを持ち歩き、自身を重ねるかのように木々の写真を撮っていた。そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく。

東京・渋谷区内17カ所の公共トイレを、世界的な建築家やクリエイターが改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」に賛同したベンダースが、東京、渋谷の街、そして同プロジェクトで改修された公共トイレを舞台に描いた。共演に新人・中野有紗のほか、田中泯柄本時生石川さゆり三浦友和ら。カンヌ国際映画祭では男優賞とあわせ、キリスト教関連の団体から、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞した。

2023年製作/124分/G/日本
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2023年12月22日

 

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劇中で流れる曲が渋くて懐かしい。

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トイレの清掃員を通じて映し出される東京は静かだ。薄暗い夜明けの空、木漏れ日、…
役所広司演じる清掃員・平山正木は淡々と1日を働き、そして次の日も淡々と
数日間の清掃員のドキュメンタリー風作品。清掃員に対応する登場人物のしぐさがその人の人間性を表す。

平山の塒(ねぐら)にはテレビもない。文庫本を読むことと植物に水をやること。
手元照明で本を読み寝落ちした後で、映像が流れる。夢を示しているのだろうか。意味するところは何だろうか。
朝食は食べない、仕事に行く前に缶コーヒーを買って仕事用ミニバンで飲む。このミニバンのカセットから流れる音楽がとてもいい。
昼はサンドイッチ、お決まりの公園で。木漏れ日をカメラで撮る。
仕事が終われば、銭湯に行き、渋谷の飲み屋でレモンハイとつまみ一つ (千数百円)。

休日は、コインランドリーで作業着などの洗濯、古本屋で本の物色、カメラ屋で現像依頼とフィルムの購入。夜は行きつけのスナック。

 

 

 

ホームレス役の田中泯、ほぼ神がかっている。

 

姪が訪ねてきて、平山の生活に波が立つが、平山の過去の事情は明らかにされない。
姪を迎えに来る妹(麻生祐未演じる)をハグする平山の目に涙。何の涙だろうか。
過去は、過去、今は今。今をそのままに生きる平山。

 

 

 

 

 

平山行きつけのスナックのママが石川さゆり。常連役であがた森魚がでており、そのギターで、さゆりママがアニマルズの「朝日のあたる家」を演歌調に歌う場面があった。三浦友和はママの別れた旦那という役回り。

 

 

PERFECT DAYS 公式サイト

 

映画に出てくる本。ぜひ読んでみたいと思った。

ウィリアム・フォークナー 「野生の棕櫚」

1939年に発表された、ふたつの物語が交錯する二重小説。平山が最初に読みながら寝落ちする本は何がいいか?迷うことなくヴェンダースはすぐに「フォークナーはどうだろう」と。フォークナーの文庫は新刊はなく古本屋でみつける。当時の文庫は行間がせまく、寝落ちするにはもってこいだった。



幸田文 「木」

平山という男は、まるで木のようだ。平山自身、木漏れ日を愛し、木々を育てている。そんな彼がこのエッセイを愛読しないはずがない。短い文章のなかに洗練された視点と、卓越した文章力を感じる一冊。本を読む歓びを教えてくれる。



パトリシア・ハイスミス 「11の物語」

アメリカの友人」など、ヴェンダースとも縁の深いサスペンス小説の名手。劇中に登場する「すっぽん」は、ヴィクターという男の子がひきおこす残酷な少年物語。

  

 

 

こんなトイレ、気持ちがいい。清潔だ。

tokyotoilet.jp

 

 

 

 

 


心落ち着けて、じっくり味わう映画。
この清掃員、かっこいい。トイレも素敵だけれどそれ以上だ。
私の評価 90点。

 

 

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