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(85) 電気料に原発賠償金上乗せ=「違法」訴訟 福岡地裁で3月22日判決

 



 

3年前 (2020年) の10月15日に提訴された裁判の判決が3月22日に。

3月20日朝日新聞は次のように報道。

 賠償上乗せ電気代、適法か 東電の原発事故分、福岡地裁22日判決
:朝日新聞デジタル


賠償上乗せ電気代、適法か 東電の原発事故分、福岡地裁22日判決

2023年3月20日 5時00分

 家庭向け電気代の3割ほどを占める託送料金(送電線使用料)には、東京電力福島第一原発事故の賠償費用が2020年度から上乗せされている。これを違法として、福岡市の新電力事業者が国に認可の取り消しを求めた訴訟が22日、福岡地裁で判決を迎える。賠償額が膨らむなか、経済産業省が異論を押し切る形で導入した仕組みを司法がどう判断するかが注目される。

 託送料金は、すべての電力小売事業者が送配電網の使用料として送配電会社に払わなければならない。そこに、原発事故の被災者への賠償費用を上乗せして回収できるよう、経産省は17年に電気料金制度の省令を改正。20年に料金変更を認可した。

 国がこの仕組みの導入方針を決めたのは16年12月。標準家庭で月18円程度を上乗せし、40年ほどかけて約2・4兆円分を回収する。

 賠償費用は国が立て替える形になっており、それまでは東電と原発を持つ大手電力から回収していたが、賠償額は年々膨らみ、国はこの時点で見込み額を従来より約2・5兆円多い約7・9兆円に引き上げた。想定より増えた分を電気利用者全体に負担させる形だった。消費者団体などは「とんでもない」と反発したが、経産省は「みんなが原発の恩恵を受けてきた」などとして導入を進めた。

 ■原発と無縁、新電力「理不尽」訴え

 原告の「グリーンコープでんき」(福岡市)は、原発に頼らない電気を届けるため、原発事故後に設立された新電力事業者。各地に太陽光発電所を開設し、16年から電力小売事業も始めた。

 その母体のグリーンコープは、九州など16府県に約43万人の組合員がいる生協。「理不尽だ」と声明を出し、学習会を重ねた。原発と無縁の新電力も、原発の費用を背負うことになる。託送料金への上乗せは、子どもたちの世代まで続く。

 組合員約22万人の福岡県で理事長を務めていた三原幸子さん(57)は、「国は『福島の復興のため』と言うけど、私たちは原発のためにお金を払いたくないだけで、福島のためならもっと払っていい。それなのに国会ではなく、省令で決めている。『国の決め方はおかしいよね』となっていった」と話す。

 ■国は「経産相に裁量」

 上乗せが始まった後の20年10月に提訴。「賠償負担金は送配電事業に必要な費用ではなく、託送料金に含めるのは電気事業法の規定に反する」「小売事業者に新たな支払い義務を課す措置を、法律の規定によらずに省令で決めたのは違法」などと主張している。

 国側は「広く公平に負担すべき公益的課題の費用を託送料金に含めることは、電気事業法の趣旨に沿う。何を含めるかは経産相の裁量に委ねられている」などと反論。料金変更の認可は送配電会社に対するもので「小売事業者には訴える資格がない」とも主張する。

 組合員は食品購買のために加入した女性がほとんどで、裁判への不安も強かった。「生協が悪く言われるのでは」。そんな意見に三原さんたちは「悪いことはしていない」「電気代の一部に納得できないだけ」と答えた。

 裁判を続けて、組合員がどっとやめることもなかった。三原さんはいま、「やってよかった」と話す。「おかしい」と声をあげたことがどうジャッジされるのか、法廷で耳を傾けるつもりだ。(安田朋起)



記事の中の図を拝借。

 

 





以下は、グリーンコープのホームページより。

www.greencoop.or.jp




  訴訟の概要( グリーンコープ共同体 法務部)  

  共生の時代(号外 2020年10月21日)

 

 

 

提訴の時の記事があるので紹介する。

www.nippon.com

2020.10.15

東京電力福島第1原発事故に伴う賠償金や廃炉費用などを一般家庭の電気料金に上乗せし徴収することを国が認可したのは違法として、15の生協などでつくる「グリーンコープ共同体」(本部福岡市)が設立した小売り電気事業者「グリーンコープでんき」は15日、九州電力の子会社「九州電力送配電」に対する認可の取り消しを求め、福岡地裁に提訴した。原告によると、同種訴訟の提訴は全国で初めて。

訴状などによると、小売り電気事業者は電力供給する際、電力会社に電線使用料(託送料金)を支払う必要がある。国は、原発事故の賠償金などを託送料金に上乗せするため、2017年9月に経済産業省令を改正し、今年7月に施行された。九電送配電などの事業者は9月に国の認可を受け、10月から原発事故の賠償金や廃炉費用を国民の電気料金で負担する仕組みが始まった。

グリーンコープ側は託送料金について、電気事業法が「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」と定めていることを踏まえ、原発事故の賠償金などを電気料金に上乗せできる省令改正は「電気事業法の委任の範囲を超え、(国会の立法権を定めた)憲法41条にも反し無効だ」と訴えている。

記者会見したグリーンコープでんきの熊野千恵美代表理事は、上乗せを認めた省令改正について「多くの国民が知らない中で徴収されるのはおかしい」と批判。訴訟を通じ「多くの人が考えるきっかけになってほしい」と述べた。


原発賠償金などの電気料金への上乗せ徴収をめぐり、
提訴のため福岡地裁に向かう原告ら=15日午後


記者会見で訴訟について説明するグリーンコープでんきの熊野千恵美代表理事(左)
=15日午後、福岡市

 

 

 

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