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林住期 どのように暮らすのか。日々、自問自答する。

(497) イランに対するトランプの介入は許せない

 

 

 

 

 

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イランといえば、ペルシャ絨毯。ケバブはなじみが深く、街角でよく見る食べ物。
アラビアンナイトペルシャ由来の物語。

 

 

 

イラン・イスラム共和国

 


 イランの最高指導者ハメネイ

 

イランは、中東と中央アジアの結節点に位置し、古代から連綿と続く文明の厚みをもつ国である。


・国名

 イラン・イスラム共和国である。古くは「ペルシャ」と呼ばれ、日本語でも文化史の文脈では今なおこの呼称が生きている。

・人口

 約9,000万人規模である。中東では最大級の人口を抱える国の一つであり、若年層の比率も比較的高い。

・面積

 約165万平方キロメートルである。日本の約4.4倍に相当し、山岳・砂漠・平原が複雑に入り組む広大な国土を持つ。

・地理と自然
 イランはアラビア半島の国ではなく、イラン高原に根差した高原文明国家。 国土の多くは高原地帯で、エルブルーズ山脈やザグロス山脈が走る。

 カスピ海沿岸は緑豊かで湿潤だが、内陸部には乾燥した砂漠地帯が広がる。

 四季がはっきりしており、地域によって気候差が大きい。

・言語

 公用語ペルシャ語ファールス語)である。 

・宗教

 国教はイスラムシーア派である。

 これは世界的に見ると少数派であり、イランの政治・社会制度を理解する鍵となっている。

・文化

 詩と物語を重んじる文化が根付いている。ハーフェズ、ルーミー、フェルドウスィーなどの詩人は国民的存在である。

 絨毯、細密画、建築装飾など、視覚芸術の水準は非常に高い。

 家族や客人を大切にする価値観が強く、「もてなし」の文化が生活の隅々に息づいている。

・食文化

 米料理が中心で、サフランやザクロ、ハーブを多用する。

 ケバブ類は有名だが、全体として繊細で香り高い料理が多い。

 ヨーグルトやナッツも日常的に用いられる。

・歴史

 古代アケメネス朝に始まるペルシャ帝国は、当時世界最大級の多民族帝国であった。

 イスラム化以後も、独自の言語と文化を保ち続けた点が特徴。20世紀には王制、革命、宗教国家体制と大きな転換を経験した。

・政治体制

 宗教指導者が大きな権限を持つイスラム共和制である。

 選挙も存在するが、宗教的枠組みの中で運営されている。

・観光

 イスファハーンのモスク群、ペルセポリス遺跡、シーラーズの庭園など、世界遺産級の見どころが多い。

 建築と都市景観は、色彩と幾何学の美に満ちている。






・総合的な特徴

 イランは「古代文明国家」「詩と哲学の国」「宗教と政治が絡み合う社会」という複数の顔を同時に持つ国である。

 


イランの核保有について

イランは核保有の国。イランの核保有に反対だ。いかなる国の核保有にも反対。
私は、核廃絶を望む立場だ。

しかし、現実政治では、核は次のように扱われている。
・核を持つ国同士は直接戦争を避ける
・核を持たない国は、介入や体制転換の対象になりやすい
・だから「持った者勝ち」に見える
この経験則が、「核は必要悪だ」という言説を強化してきた。

でも、核兵器は、使えない兵器であり、使われれば文明を壊す兵器であり、持ち続けるだけで世界を歪める兵器だ。少なくとも、核を持つ大国が、イランにだけ廃棄迫るのはおかしい。廃棄を迫るなら、まず自ら廃棄せよ。もしくは、同時廃棄の具体的道筋を示すべきだろう。

改めて、核廃絶を求めなくてはならないと思う。



この間のイランとアメリカのやり取り

2025年12月末:トランプ政権の警告と圧力強化

・トランプ米大統領は、イランの核・ミサイル開発に対して強い警告を出し、さらなる攻撃や圧力を示唆した。イスラエル首脳との会談で、核継続なら強力な対応を支持する旨の発言が出たと報じられている。

・また、米国はイランおよびベネズエラ関連の武器取引を理由に、新たな制裁措置を発表した。これには、米財務省からイランとベネズエラに関連する個人・団体への制裁が含まれる。

 

2026年1月:イラン国内抗議と米国の対応の激化

・イラン国内で経済悪化を背景に大規模な抗議が発生し、死者・逮捕者が多数に及んでいるとの報告が出ている。

・これに対し、トランプ大統領はイラン政府に「人道的対応」を求めつつ、抗議者への弾圧が続けば**「非常に強い行動」を取る可能性を示唆した。

・トランプ氏は、抗議者に「助けが来る」と支持のメッセージを発信し、場合によっては軍事的対応も排除しない姿勢をちらつかせた。

・同時にトランプ政権は、イランと取引する国に対して関税措置(25%)を課す可能性にも言及し、経済面からの圧力も強めている。

アメリカ政府はイラン在留の米国民に即時退避勧告を出した。

・こうした発言に対して、イラン当局は米国とイスラエルによる干渉・扇動だと非難**している。

 

国際的反応と他国の公式声明

・この米イラン間の緊張激化に対して、ロシア外務省が米国の攻撃的発言を「容認できない」と強く非難した声明を出している。

米国側が軍事行動をちらつかせること自体が、国際社会、とりわけイランと関係の深い大国からの反発を招いている。



イランの安全保障環境について


・イラン周辺の米軍基地網

 イランの周囲は事実上、米軍のリングで囲まれている。

 ペルシャ湾では、バーレーンに米第5艦隊の司令部が置かれている。

 カタールには中東最大級のアル・ウデイド空軍基地があり、地域作戦の中枢である。

 クウェートUAEサウジアラビアにも米軍拠点や展開拠点が存在する。

 北西ではトルコNATO加盟国)に米軍が展開している。

 東では、アフガニスタンから米軍は撤退したが、長年にわたり軍事的圧力源であった。

 イラクにも長期にわたり米軍が駐留し、現在も限定的に残っている。

 イランの視点では、これは「防衛」ではなく即応可能な攻撃配置として映る。

・敵対的国家の存在

 アメリカは、体制転換を公然と視野に入れてきた最大の敵対国である。

 イスラエルは、イランを国家存亡の脅威とみなし、敵対姿勢を隠していない。

 サウジアラビアとは長年、中東の主導権をめぐる競争関係にあった。

 湾岸君主国の多くは、宗派・安全保障の観点からイランを警戒してきた。

 イランから見れば、敵対国と米軍が事実上一体化している地域である。

・代理戦争という戦場

 イランは直接戦争を避けつつ、影響力を拡張するため「代理勢力」を活用してきた。

 レバノンではヒズボライスラエルへの抑止力として機能している。

 シリア内戦では、アサド政権を支援し、地中海への戦略回廊を確保した。

 イラクでは、親イラン民兵組織が政治・軍事の両面で影響力を持つ。

 イエメンではフーシ派がサウジアラビアを牽制する存在となっている。

 これらはイランにとって「攻勢」ではなく、本土防衛を外に押し出した緩衝地帯である。

・なぜ代理戦争を選ぶのか

 正規軍同士の戦争では、米国・イスラエルに軍事的優位がある。

 代理勢力を通じた非対称戦は、コストを抑えつつ抑止力を維持できる。

 1979年革命以降の孤立経験が、この戦略を合理的選択にした。

・外からの見え方と内側の論理

 外部からは「地域不安定化の元凶」と映る。

 しかしイラン内部では、「自国領土で戦争を起こさないための防衛線」と理解されている。



イランの近世の歴史

 

・19世紀〜20世紀初頭:半植民地的状況
 カージャール朝期、イランはロシア帝国とイギリス帝国に挟まれた。
 鉄道、銀行、資源採掘などの利権が次々と外国に与えられた。
 形式上は独立国であったが、実質的主権は大きく制限されていた。

1906年の立憲革命
 国王の専制だけでなく、外国干渉を抑える目的もあった。
 「憲法による国家防衛」という発想が、この時すでに芽生えている。
 しかし列強の介入により、立憲体制は十分に根づかなかった。

第二次世界大戦中の主権侵害(1941年)
 中立国であったにもかかわらず、英ソ連合軍がイランに侵攻した。
 国王は退位させられ、国家の意思とは無関係に占領された。
 「強国の都合で主権は無視される」という現実が国民的記憶となった。

・1951〜53年:石油国有化とクーデター
 モサッデグ首相は、外国資本に握られた石油利権を国有化した。
 これは主権回復の象徴的行為であった。
 しかし英米が関与したクーデターで政権は倒された。
 「民主的に選ばれた政府でさえ潰される」という教訓が刻まれた。

・パフラヴィー王制と対米従属
 以後の王制は、アメリカの強い支援を受けて存続した。
 経済成長はあったが、政治的自立感は乏しかった。
 主権と尊厳が回復されていないという不満が蓄積した。

・1979年イスラム革命
 この革命は、宗教革命であると同時に「主権回復革命」であった。
 「東にも西にも与しない」というスローガンは、その象徴である。
 体制の正統性は、外圧への抵抗と深く結びついた。




・革命後の外圧と戦争

 直後にアメリカとの断交、人質事件、イラン・イラク戦争が続いた。
 特に戦争では、国際社会の多くがイラクを事実上支援した。
 孤立の中で生き延びた経験が、警戒心をさらに強化した。

・現代への連続性
 核問題や制裁に対する強硬姿勢も、この歴史の延長線上にある。
 妥協は「再び主権を奪われる入口」と見なされやすい。
 外から見れば過剰に映る反応も、内側では合理的防衛として理解されている。


イランの強硬さは、過去の静かな屈辱の反動だ。

 

 

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