社会と個人 どう向きあうの

林住期 どのように暮らすのか。日々、自問自答する。

(338) 柚月裕子という作家に興味を持った

 

 

 

 

 

 

映画「朽ちない桜」を観て、柚月裕子という人に興味を持った。原作者。
1968年生まれ、岩手出身。映画「弧狼の血」も印象深い。

体力もないので、短い作品を探した。

 

 

 

 

私は現状 犬派。でも猫もとっつきやすいかと思った。

 

短編集の内容はこんな感じ。


柚月裕子の作品は、「泣く猫」。


17年音信不通であった母が死んで、真紀は母の住処に訪れる。母の同僚サオリが弔問に訪れる。
母が大切にしていた猫・マキは母のために泣いたという。

 

(中略) あっけらかんとした人生じゃなかったと思うよい サオリは俯いたまま、自分のことのように語る。
「男に夢中になると、ほかが見えなくなっちゃう。男と別れたあと、自分がしでかしたことを後悔する。そんときは、もう男なんかいらないって思うけど、好きなやつができ ると、また突っ走る。そして別れて悔いての繰り返し、心底、自分で自分がいやになる。 だから、悪い酒を呑む。そりゃあ身体もダメになるよね」 サオリは顔をあげると、真紀を見た。
「別にあんたに、母親を許せ、なんて 言ってるんじゃないよ。ただ、猫が泣くんだから、あんたが泣いてもおかしくないって言いたいだけ」 じゃあ、そう言って、サオリは部屋を出て行った。
真紀はしばらく、その場から動けずにいた。 やり場のない怒りと、悔しさが胸に渦巻いている。それはサオリに向けられたものではない。自分に対してだった。
 テーブルの下で泣く猫を怒鳴った理由は、自分でもわかっていた。あんな母親のため に、泣きたい自分がいることに、気づきたくなかったからだ。 耳の奥で、忘れかけていた母の声がした。ひとつの布団に一緒に入り、後ろから抱き しめられたときの声だ。
 「お前は優しいね。ほんとにいい子。」
 その声を吹っ切るように頭を振ると、部屋に戻って窓を開けた。忍っぱい風が、頬にあたる。
 下を見ると、空き地にマキがいた。前で顔を洗っている。真紀の視線に気づくと、 二階の窓を見上げながら、ひと声ないた。 マキが、ビルの隙間に姿を消す。
 真紀は猫が消えた先を、見つめた。 マキが本当に泣いたのかはわからない。だが、真記の頬は濡れていた。


猫は人の感情がわかるという。犬も。

 

柚月裕子の作品をもう一つ買った。

 

 

 

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