イギリスでは国王が施政演説をする。
国が違えば国会運営も違う。ウェストミンスター宮殿(ウェストミンスターきゅうでん、英語:Palace of Westminster)を、英国議会が議事堂として使用している。
かつての覇権国家・イギリス帝国。過去に、アジアで植民地支配した国は数多い。
イギリスがアジアで植民地支配した主な国々とその独立年は以下の通り。
インド: 1947年に独立
パキスタン: 1947年にインドから分離独立
ミャンマー(ビルマ): 1948年にイギリス連邦から離れて独立
マレーシア: 1957年に独立。当時は英領マレー半島として
知られていた。
シンガポール: 1963年にマレーシアの一部として独立し、
1965年にマレーシアから分離して完全独立国に
なりました。
スリランカ(セイロン): 1948年に独立。
バングラデシュ: 1971年にパキスタンから分離独立。
元々は東パキスタンとして1947年にイギリスから独立。
香港: 1997年に中国に返還されるまでイギリスの植民地。
14年ぶりの労働政権。何を目指すのか。注目だ。
イギリス議会が開会、労働党政権は「経済成長」を重点に - BBCニュース
イギリス議会が開会、労働党政権は「経済成長」を重点に
英労働党新政権のキア・スターマー首相画像提供,PA MEDIA
イギリスで17日、議会の新しい会期が始まった。労働党新政権のキアー・スターマー首相は、自分の政権構想は「イギリスからブレーキを外し」、「国家再生の道」を歩ませるものだと語った。開会式では、イギリス国王チャールズ3世が「国王の演説」で政府の施政方針を読み上げ、39件の法案を示した。その後、首相として臨んだ初の議会でスターマー氏は、「即効性のある解決策はない」と述べ、「まがいものの魅力で人をだますポピュリズム」について警告を発した。
今回、労働党が示した、イギリスの経済成長を促進する計画の中心には、住宅やインフラの建設を容易にするための都市計画制度の変更がある。
また、地方の首長への権限付与、鉄道の公有化、労働者の権利拡大などの提案も盛り込まれた。
たばこの段階的な販売禁止やサッカー規制機関の導入など、保守党のリシ・スーナク前政権が提出した法案もいくつか復活した。
一方で、公的扶助の増額を第2子までとする上限の撤廃や、16~17歳に総選挙での投票権を与える案、1950年代に生まれた女性が経験してきた年金格差の是正など、いくつかの方策が盛り込まれず、党内外から批判を浴びた。
最大野党となった保守党のスーナク党首は、自分たちは政府に反対するための反対はしないとしつつ、労働党政権が自分たちの選挙公約をどう果たすのか、その責任を問い続けていくつもりだと述べた。
経済成長に重点
シンクタンクの英財政研究所(IFS)は選挙期間中、次期政権は増税か公共サービスの削減か、あるいは債務増加を選択しなければならなくなると警告していた。対する労働党は、ここ数年低迷している経済成長を促進することで、こうした政治的に好ましくない選択肢を避けたいと考えている。
12分にわたった「国王の演説」では、「経済成長の確保」、「経済成長の重要な原動力」、「地域の成長計画」といったフレーズが散見された。
政府は演説に関するブリーフィング・ノートの中で、現行の都市計画制度が経済成長の「大きなブレーキ」のひとつになっていると指摘。国王の演説を通じて都市計画・インフラ法案を発表した。
この法案は、イングランドとウェールズ、スコットランドの一部に適用され、住宅とインフラの建設を加速させることを目的としている。
政府の計画では、地方計画部門の能力を向上させ、太陽光発電所や送電網接続などのインフラ・プロジェクトについて承認手続きを簡素化する。
労働党は先の総選挙で174議席を獲得し、下院で多数を占めていることから、この法案は議会を通過する可能性が高い。
しかし、新規の開発計画は建築事業に影響を受ける地域コミュニテーィから、激しい反対を受ける可能性がある。
このほか、交通や技能、雇用に関する権限を地方の指導者に与え、追加の権限を要求しやすくする「イギリス地方分権法案」や、地方議員が公営のバス事業者を設立できるようにする「ベター・バス法案」なども、経済成長促進の一環として発表された。
エネルギー産業では、インフラとグリーン産業への投資を促進するための国富基金を設立する法案に加え、再生可能エネルギーに投資する公営企業「グレート・ブリティッシュ・エナジー」を設立する法案が示された。
首相官邸は、今回の「国王の演説」で示された法案のうち、少なくとも6法案を今週中に議会に提出するとしている。
最大野党の党首として議会に立つ保守党のリシ・スーナク党首画像提供,PA MEDIA
施政方針の発表を受け、保守党のスーナク党首は、都市計画制度の変更について、誰もがプロセスのスピードアップを望んでいるとしながらも、「地元住民に発言権を与えないシステムは、長期的には、より多くの住宅に対する国民の同意を損なうことになる」と警告した。また、低迷する経済を成長させると述べたイヴェット・クーパー財務相に対して、自分の首相時代にインフレ率や失業率が回復したことを例にとり、労働党政権は「右肩上がりの経済を継承した」のだと指摘した。
総選挙で第3党に躍進した自由民主党のデイジー・クーパー副党首は、メンタルヘルス法の改革を新政権が約束したことを歓迎したが、医療と社会的福祉に関してもっと野心的であってほしいと述べた。
新党「リフォームUK」のリチャード・タイス副党首は、政府の政策は増税と規制強化につながると述べた。
緑の党のエリー・チョウンズ議員は、建築基準の改善と家賃規制の導入について「大胆な行動」を望むと述べた。
SNPのスティーヴン・ゲシンズ議員は、「成長の足を引っ張る最大のもの」はブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)だと述べ、「保守党のハード・ブレグジット」を覆すために新政府が今回の選挙で得た圧倒的多数の議席数を活用しないと批判した。
扶養の上限撤廃せず、批判集中
イギリスでは現在ユニバーサル・クレジット(低所得者向け所得補償制度)や児童税額控除に加入している世帯について、2017年4月以降に生まれた3人目以降の子供に対する支払いが制限されている。これについてはかねて、労働党の一部議員やSNPなどが、第2子までという上限を撤廃するべきだと指摘してきた。
しかし今回の「国王の演説」には、この上限撤廃案は含まれなかった。
「国王演説」後の討論で、労働党で影の財務相だったジョン・マクドネル議員は、この上限を撤廃すれば30万人の子供が貧困から抜け出せると述べた。
スターマー首相は以前、上限額に対する反対意見は理解するが、上限額の撤廃は現状では財政的に難しいと述べている。
政府は今回、子どもの貧困戦略を実現するためのタスクフォースを設置すると発表している。
しかし、労働党の前党首で、現在は無所属のジェレミー・コービン下院議員は、タスクフォースの設置は「ただ事態を遅らせるだけ」だと指摘した。
「なぜ今すぐやらないのか? 家族の3人目、4人目、5人目の子供の価値が最初の2人よりも低いと言うのは、単に残酷で意地悪なことだ」と、コービン氏は述べた。
SNPのゲシンズ議員も、上限撤廃案が含まれなかったことを批判した。
その他、「国王の演説」に含まれた政策案は以下の通り。・テロ攻撃の影響を最小限に抑えるための措置を、大型施設などに義務づける「マーティン法」。法案名は、2017年にマンチェスター・アリーナで起きたテロ攻撃で亡くなった犠牲者の名前から
・過失のない賃借人に対する立ち退き強制を禁止し、安全規則を個人賃借人に拡大する賃借人の権利法案
・民間の水道会社の代表に法律違反の責任を負わせる水道(特別措置)法案
・イギリスに移民を密入国させるギャングに対処するため、警察がテロ対策の権限を行使できるようにする国境警備・亡命・移民法案
・人の性的指向やジェンダー・アイデンティティー(性自認)を変えさせることを目的とした「虐待的」行為を、新しく規制する移行行為法案