社会と個人 どう向きあうの

林住期 どのように暮らすのか。日々、自問自答する。

(68) 次の日銀総裁、経済学者植田和男氏に

★ ☆ ★ ☆ 「 ヘッダー」の花  菜の花

 

 

2月10日「47ニュース」から

www.47news.jp

日銀総裁植田和男氏を起用へ 
首相意向、戦後初の経済学者出身


記者会見する「構造変化と日本経済」専門調査会の植田和男会長(手前)
=2008年7月、内閣府

 岸田文雄首相が4月8日に任期満了となる日銀の黒田東彦総裁(78)の後任に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏(71)を起用する意向を固めた。関係者が10日、明らかにした。経済学者出身の総裁は戦後初となる。副総裁は前金融庁長官の氷見野良三氏(62)と日銀理事の内田真一氏(60)を候補とする。14日に国会に人事案を提示し、衆参両院の同意を得て総裁は4月9日、副総裁は3月20日に就任する。任期はいずれも5年。

 植田氏は金融政策の研究が専門だ。東大教授から1998年4月に日銀審議委員になり、再任されて2005年4月まで7年間務めた。在任中、日銀が採用したゼロ金利政策や世の中のお金の量を増やす量的金融緩和といった非伝統的な景気刺激手段を理論面から支えた。岸田首相はこうした実績を高く評価した。

 植田氏は10日夜、共同通信などの記者団に対し「現状の日銀の金融政策は適当だ」とした上で「当面は金融緩和を続ける必要がある」と語った。24日に衆院議院運営委員会で所信を表明する見通しだ。


下の図は、読売新聞から拝借。




 この図は日本経済新聞から

 

 

各紙から
読売新聞、時事.COM、朝日新聞日本経済新聞

 

日銀総裁人事、植田氏の起用に驚きも…
市場は緩和策の行方に注目 : 読売新聞オンライン


日銀総裁人事、植田氏の起用に驚きも…市場は緩和策の行方に注目
2023/02/11 08:51

 新たな日本銀行総裁として政府が指名したのは、経済学者の植田和男氏(71)だった。新体制は、戦後初となる学者出身の総裁をトップに、副総裁として、金融システムの分野で世界をリードしてきた行政マンと、マイナス金利政策を立案・設計した日銀マンが脇を固める3人の「トロイカ体制」となる。

「説明が大事」
 「政策の判断を論理的に、判断の結果を分かりやすく説明することが大事だ」。植田氏は10日夜の取材で、こう語った。黒田 東彦はるひこ 総裁の下で10年続いてきた金融緩和を急に転換すれば、金融市場の混乱を招きかねないとの認識がある。


 金融政策の転換は、金融市場を通じて、企業や家計にも打撃を与えかねない。低金利を続けるために日銀が大量の国債を買い入れているため、日銀の国債保有比率は5割を超えている。仮に日銀が、国債の買い入れを減らせば、金利が急騰する可能性がある。金利の上昇で債券価格が下落すると、国債を持つ金融機関の業績は悪化する。企業への貸し出しが鈍る可能性もある。

 家計にとっては、金利の上昇を通じた負担が増えかねない。日銀が昨年12月に長期金利の上限を0・25%から0・5%に拡大しただけで、長期金利に連動する金利固定型の住宅ローンの利率は軒並み上昇した。日銀がマイナス金利政策の撤廃などに動けば、住宅ローンの7割を占める変動型金利にも影響を及ぼしかねない。物価高で苦しむ家計の逆風になる。

反応
 もっとも、市場は、植田氏の起用に、驚きを隠さなかった。

 10日夕方、植田氏の総裁起用が報じられると、東京外国為替市場の円相場は一気に1円以上も円高・ドル安に振れた。大規模な金融緩和を主張し、在任期間最長の総裁として圧倒的な存在感を示してきた黒田氏体制が大きく転換するとの見方が広がったからだ。

植田氏は、日銀の独立性を明確にした新日銀法が施行して初めて任命された審議委員だ。当時は、政府との距離をつくり、独立して金融政策を運営するとの考えが色濃かった速水優総裁や福井俊彦総裁の下だった。


 金融市場は、新体制の下で金融緩和は縮小に向かうと先取りした。東京債券市場では、長期金利の代表的な指標となる新発10年物国債の流通利回りが、日銀が上限とする0・5%まで上昇(債券価格は下落)した。1月18日以来の高い水準となった。

副総裁の存在
 今後の鍵を握るのは、2人の新副総裁だ。

 米欧の中央銀行が急激なインフレ(物価上昇)を受けて急ピッチで金融引き締めに進む。金融政策が不必要な市場の動きを誘発しかねない。誤解を招かない政策運営と、丁寧な対話、そして、海外当局との密な連携が求められる。

 副総裁候補となった、前金融庁長官の氷見野良三氏(62)は日本人で初めて主要国の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)の常設委員会の議長を務めた。金融緩和の縮小で日銀が直面する金利上昇に伴う金融機関の経営不安への対応に期待が寄せられる。

 もう一人の副総裁となる、日銀理事の内田真一氏(60)は、10年に1度の日銀のエースと呼ばれ、金融政策のスペシャリストだ。黒田日銀で金融政策を立案してきた立場で、今度は複雑化した金融緩和を解きほぐす役割を担う。

植田氏 主な発言

 日本銀行の新総裁への起用が固まった植田和男氏が読売新聞などの取材に応じた。主な発言は以下の通り。

 ――現在の金融政策への評価は

 「現状の景気と物価からすると現在の日銀の政策は適切である。当面は、金融緩和を続ける必要があると思っている」

 ――総裁としての役割は

 「政策の判断を論理的に、判断の結果を分かりやすく説明することが大事だ。非常に難しい経済情勢なので予断を持たずに柔軟に適切な政策をしていくことだ」

 ――今後の課題は

 「本当に日銀が(金融政策を正常化する)出口に行くとしたら難しい問題だ。百も承知している。機会があればなるべく詳しく話したい」

 

 

 

アベノミクス巡り揺れた人選 有力候補は固辞、
大物学者で決着
日銀総裁:時事ドットコム

 


アベノミクス巡り揺れた人選 有力候補は固辞、大物学者で決着―日銀総裁

2023年02月11日07時09分

 岸田文雄首相は日銀の次期総裁に元審議委員で経済学者の植田和男氏を起用する人事案を固めた。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の中核を担った異次元の金融緩和策をどう継承し、どう修正するのか。有力とされた日銀出身の候補者が固辞する中で人選は最後まで揺れ、大物学者での決着となった。
 「黒田東彦総裁にコミットしすぎたから」。政府が雨宮正佳副総裁に次期総裁への就任を打診したと一部で報じられた6日。雨宮氏は周囲に就任を固辞し続ける理由を漏らした。
 次期総裁の人選を巡っては、政府は当初から日銀出身者を有力視してきた。「ここまで複雑になった金融政策を解きほぐせるのは日銀出身者しかいない」(政府関係者)。雨宮氏のほか、中曽宏前副総裁らの名前が取り沙汰されていた。
 背景には、黒田氏が進めた異次元緩和に限界が見えてきたことがある。世界的にインフレが広がる中、主要国・地域の中央銀行で日本だけが緩和政策を続けたことで、昨年は急速な円安が進行。緩和に固執する硬直的な金融政策が物価高に拍車を掛けたとの批判も出ていた。
 ただ、緩和策の修正は事実上の金融引き締めとなりかねない。「これからの5年間、金融市場や景気に悪影響が出れば批判されるのは日銀総裁だ」(日銀関係者)。日銀出身者以外に引き受け手はいないとの見方が広がった。
 その上で問われたのが、アベノミクスとの距離感だ。岸田首相は昨年3月の日銀審議委員人事で、積極緩和を唱える「リフレ派」の起用を見送り、緩和路線修正にかじを切るかに見えた。
 もっとも、岸田政権の支持率はその後低迷。政権基盤維持には、自民党の最大派閥「安倍派」への配慮は避けられない情勢となった。世界経済の減速懸念が強まる中、金融市場への悪影響回避という面でも、明らかなアベノミクス修正は選択できない状況だった。
 こうした中、有力候補とされた雨宮氏や中曽氏は昨年から就任に難色を示し、最後まで固辞。いずれも黒田氏の異次元緩和を支えたことで、「正常化を進めればこれまでの政策との一貫性を問われる」(関係者)ことなどが理由とされる。
 難航を極めた人選は、理論的な金融政策運営が期待できる植田氏で決着。政府関係者は「政治的な色がなく、バランスが取れた人事になった」と評価した。急激な政策転換に踏み切ることはないとの安心感も決め手となった。 

※ リフレーション(りふれーしょん)

デフレ状態を脱却し、まだインフレにはならない程度の状態のこと。英語表記「reflation」の日本語読みで、「通貨再膨張」と訳される。リフレーションになるように金融政策や財政政策を実施することをリフレ政策という。こうした政策を推進しようとする人々をリフレ派と呼ぶ。

 

 

大規模緩和からの出口「難しい問題、百も承知」
新総裁候補・植田氏:朝日新聞デジタル


  大規模緩和からの出口「難しい問題、百も承知」 新総裁候補・植田氏                         2023年2月10日 21時59分

 政府が日銀新総裁に起用する方針を固めた元日銀審議委員で共立女子大学教授(経済学)の植田和男氏(71)は10日、朝日新聞などの取材に応じた。やりとりは次の通り。

 ――政府から新総裁の打診はあったか。

 「現時点で人事については、ちょっと申し上げられない。もし本当にそういうこと(打診)があるなら、来週以降、正式な動きがあると思うので、それをお待ち頂けたらと思う」

 ――黒田東彦(はるひこ)・現総裁による日銀の金融政策について、この10年をどう見ているか。

 「私はずっと前に(日銀)審議委員をやり、その後は学者でずっと金融政策を専門にみてきた。そういう立場からすると、金融政策は景気と物価の現状、それから将来の見通しをもとに決めていかなくてはいけない。そういう考え方からすると、現状の金融政策は適切だと考えている。当面、現状は金融緩和を続ける必要があると思っている」

 ――仮に新総裁になっても、方針は変わらないか。

 「はい」

 ――黒田氏の政策(大規模緩和)からの出口の難しさについて、学者、専門家として(どう考えるか)。

 「それは本当に、日銀は出口に行くとしたら、いろいろ難しい問題があるのは百も承知している」

――現状、出口はどこが特に難しいとみているか。

 「そういう話を詳しくする機会がもしあれば、そこでなるべく詳しく分かりやすく話したい」

――日銀の(国内外への)発信力などについて、どうみていたか。

 「政策に関連した発信力ということでは、まず政策の判断を論理的にするということ、判断の結果を分かりやすく説明するということ、その二つが大事かなと思う」

――新総裁の人物像や政策は、どういうところが求められるとみるか。

 「非常に難しい経済情勢なので、予断を持たずに柔軟に、物価、景気の現状と見通しに応じて、適切な政策をするということだと思う」(稲垣千駿)

 

 

 

日銀総裁候補に植田和男氏 異次元緩和、出口へ重責 : 日本経済新聞

日銀異次元緩和、出口へ重責 総裁候補に理論派・植田氏
2023年2月10日 21:56 (2023年2月11日 4:21更新)


【この記事のポイント】
・10年続いた大規模緩和からの出口が次期総裁に託される
国債市場の機能低下、混乱のなかの難しいかじ取り
・日銀が政府と結んだ共同声明の見直しの行方も焦点

政府が日銀の次期総裁に起用する方針を固めた植田和男氏を待ち受けるのは、10年続いた異次元緩和の手じまいという重責だ。マイナス金利政策や国債の大量購入を続けてきたが、成長と物価上昇の好循環は実現できず、市場機能の低下などの副作用が無視できなくなっている。国内屈指の金融政策の研究者である植田氏のかじ取りに市場の注目が集まる。

歴代最長となった黒田東彦総裁の後任選びは難航した。政府が本命視していた雨宮正佳副総裁が、今後の金融政策には新しい視点が必要だと就任を固辞したためだ。政府が最終的に頼ったのが植田氏だった。経済学者でありながら実務経験もあり、現在の金融政策に精通していると判断した。

日銀の異次元緩和は前例のない実験だった。国債の大量購入で、日銀の国債保有額は13年3月の125兆円から23年1月の583兆円へと4倍超に拡大。発行済み長期国債の5割以上を買い占めた。上場投資信託ETF)の保有額(簿価ベース)も1.5兆円から36.9兆円に増え、多くの上場企業の主要株主になる異常事態となった。

22年12月に日銀が副作用を解消するために長期金利の上限を引き上げると、金融政策の出口を見込んだ市場との攻防が激化した。1月の国債購入額は23兆6902億円と過去最多に達した。次期総裁は異例の混乱のなかで就任を迎える。

植田氏はマサチューセッツ工科大学で経済学の博士号を取得し、金融政策の理論に精通する。1999年のゼロ金利政策や2001年の量的緩和政策の導入に審議委員として関わった。異例の政策の導入を理論的に支えたのが植田氏だった。

植田氏は22年7月の日本経済新聞の「経済教室」で「異例の金融緩和枠組みの今後については、どこかで真剣な検討が必要だ」との考えを示した。一方で拙速な引き締めには警鐘を鳴らすバランス感覚をあわせ持つ。

10年目の異次元緩和政策には課題が多い。物価上昇率は22年12月に4.0%となり、日銀の物価目標の2倍に達した。ただ、エネルギー価格の上昇や円安などの要因が大きく、賃上げを伴いながら物価が持続的・安定的に上昇していくという日銀の目指した姿はいまだに実現できていない。

政策の限界が近づくなか、海外の投機筋は金融緩和の縮小を見込んで国債を売り続けている。日銀の国債購入の副作用で「(債券市場の)流動性の低下などは続いており、日銀はこの点を無視できない」(米ニューバーガー・バーマンのフレディリック・レプトン氏)との見方がある。

日銀が13年に政府と結んだ共同声明の見直しも焦点だ。物価2%目標を「できるだけ早期に実現する」という文言が、緩和一辺倒の硬直的な政策運営につながったとの指摘がある。岸田文雄首相は「見直すかどうかも含めて新しい日銀総裁と話をしなければならない」との立場だ。植田氏の判断に注目が集まる。

政策修正を探るにしても、経済・物価への影響を見極めながら慎重に進めざるを得ない。金利上昇は家計や企業の負担増に直結するためだ。国債残高が1000兆円規模に膨らむ財政への影響も大きい。金融政策の正常化は「狭い道」で、一歩踏み外せば金利上昇や円下落を招きかねない危うさもある。

 

 

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ