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(46)巨大津波「予見できず」と高裁 東電旧経営陣3人再び無罪

 

 

重大な原発事故を繰り返してしまうことが危惧される

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2023年01月18日共同通信



 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の勝俣恒久元会長(82)ら旧経営陣3人を一審に続き無罪とした18日の東京高裁判決で、細田啓介裁判長は「10メートルを超える津波が襲来する予見可能性がなく、業務上の注意義務は認められないとした一審判決は妥当だ」と述べた。

 他の2人は原子力部門のトップを務めていた武黒一郎元副社長(76)と、武藤栄元副社長(72)。巨大津波を予見できたか、事故を回避できたかどうかが争点だった。

 昨年の民事訴訟の判決は3人を含む4人に、甚大な事故を招く規模の津波は予見できたとして13兆円超の賠償を命令した。

 

 

shien-dan.org

東電刑事裁判東京高裁不当判決に抗議する声明 (2023年1月18日) 
福島原発告訴団・刑事訴訟支援団弁護団https://shien-dan.org/wp- content/uploads/20230118-statement.pdf

本日、東京高裁第 10 刑事部(細田啓介裁判長)は、一審無罪判決に対する指定弁護士の控訴を棄却し、原判決を維持するとの判断を示しました。
この判決は、一審判決をそのまま、無批判に是認した判決であり、この事故によって、命と生活を奪われた被害者・遺族のみなさんの納得を到底得られない誤った判決だと思います。
推本の長期評価について、判決は、一応「国として、一線の専門家が議論して定めたものであり、見過ごすことのできない重みがある」とは述べましたが、この見解には、これを基礎づける研究成果の引用がなく、原発の運転を停止させる「現実的な可能性」を基礎づける信頼性はないとして、これに基づく、津波対策の必要性自体を否定しました。
事故対策を基礎づける科学的な知見について「現実的な可能性」を求めることは、地震学の現状からして、明らかに間違いです。このような判決は、必要な事故対策をしないことを免罪し、次の原発事故を準備する危険な論理となっていると思います。
また、判決は、地裁では判断されなかった貞観津波について、さらに検討を加え、知見が劇的に進展していると認めたにもかかわらず、津波高さは 9 メートル前後だとして、10 メートル盤を超えていないとしました。しかし、この計算は詳細なパラメータースタディを経ない概略計算であり、詳細計算を行えば、10 メートルを超えることとなったことは明らかであるのに、これを無視しました。さらに、ここでも、研究課題が残っているとして、知見の成熟性を否定しています。
延宝房総沖のモデルによる津波の試算(13.5 メートル)については、被告人らが、検討を依頼した土木学会でもこのモデルで委員の意見が一致を見たにもかかわらず、これも成熟した知見と認められないとして、津波対策を基礎づけるものではないとしたことも、著しく不合理な判断です。
結果回避措置について、水密化の対策は他の対策とセットでなければ、事故の結果を避けることはできなかったと判断しましたが、そのような判断には何の根拠も示されていません。また、津波の浸水高さが高くなったと指摘もされたが、津波の水密化の対策をとるとした場合に、かなりの余裕を見込んで設計がなされたはずであり、水密化の津波対策がとられていれば、それだけで、すくなくとも過酷事故の結果は避けられた可能性が高いとの東京地裁の株代訴訟判決には、これを裏付ける東電技術者の明快な調書が存在しており、こちらの方が正しいと思います。
このような判断を確定させると、まさに次の重大な原発事故を繰り返してしまうことが危惧されます。いずれにしても、この判断を確定させてはならないと思います。指定弁護士の先生方には、ぜひ、事件を最高裁に上告していただき、昨年 6 月の最高裁判決との矛盾を掘り下げて、この判決を覆していただきたいと思います。

判定に対する指定弁護士のコメント(2023年1月18日)

https://shien-dan.org/wp-content/uploads/20230118-lawyer-comment.pdf

 

 

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